2008年11月12日水曜日

合鴨をめぐる冒険(下)

合鴨をめぐる冒険も、いよいよクライマックス。





あまりかわいがると後でつらいかもよ、といっても

かわいいといってはなさない男子生徒さん。





合鴨くんを見つめる視線があまりにやさしい!

みんな抱いたり、頭をなでたり。



「あったかーい」といって放しません。

だっこされている合鴨くんも案外おとなしく、

なついているようにも見えました。



「生きているね」と、しみじみ。



でも、これから合鴨くんを解体していかなければならないのです。





合鴨くんの解体は、生きているまま血を抜くという作業がまず最初に行われます。

この作業は、その後の調理の仕方によって幾通りかあるのですが、

今回はなべであっさり食べるためにしっかりと血抜きのできるこの方法を選択しました。



首に流れている太い血管を探し、一気に鉈で血管を切って血を抜きます。

首は落としません。



ニワトリの場合はだいたい1分から2分程度で絶命するのですが、

合鴨くんは生命力が強いのか5分以上かかります。



最後に静かにうなだれ、目を閉じれば血抜きが終わり、絶命した事を示します。



血管を切られた後の合鴨くんの目をじっと見ていました。

ニワトリのようには鳴かず、少しずつ力を失って

静かに、命を終わらせようとしているように見えました。





血抜きの後は、すぐに羽をむしる作業に移ります。

水鳥ですので、羽が丈夫でしっかりとしています。

ニワトリのように熱湯につけすっとむしれればいいのですが、

合鴨くんにお湯は禁物。

そのままむしっていきます。



約30分かけて羽を丁寧にむしった後、バーナーで軽くあぶり、産毛を燃やします。

その後流水で洗えば、ようやく解体作業に着手できる状態になります。



ここからは、さすが調理師学校の生徒さん。

持参していただいた、よくきれる包丁をつかって

先生の師事にしたがい手際良くお肉を骨から外していきます。



中には、医療関係で働いていらっしゃった方もいて、

とってもお上手。





外したお肉を一口大にきって、ようやく鴨なべのお肉になりました。





生きているとき、かわいかった合鴨くん。

解体して、お肉になったらとてもおいしそう。



不思議と、「かわいそう、食べられないよ」なんて思わないのです。

でも、「ありがたい、のこらずおいしく食べたい」と強く思いました。



生徒さんたちもだれひとり、「たべられない」とか「かわいそう」といった言葉はなく、

「貴重な経験ができました」

「ありがたいです」という感謝の言葉が沢山ありました。



鴨なべも、ほとんど何も残さずきれいに召し上がってくれました。





合鴨をめぐる冒険はこれで終わりです。

生きているものを頂く大変さと、ありがたさと、美味しさを実感しました。





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